ライブドア事件に対する私的な思い
2006年1月24日(火)
ライブドア事件が恐ろしく迅速に終焉に向かいつつあります。私は、ニュース等で騒がれている内容とは異なる視点から今回のライブドア事件の一連の流れを見つめています。今回の件で私が感じる損失は、株でも経済でも政治でもありません。ライブドア自体の株は今となっては無意味だし、経済も今は痛手があったとしても、いずれは収束します。政治に関しては正直よくわかりませんが、一部の政治家が痛い発言をしているくらいでしょうか。
でも、私にとっては、それ以上に大きく重い罪が今回の事件にはあるような気がします。
私と私が今まで一緒に仕事をしてきた人たちと同じく、堀江氏もインターネット社会の第一世代です。私たちは、ネットの黎明期、ネットの世界が普及する現場に立ち会い、それと共に生活してきました。今までの常識や様々な壁が取り除かれた新しい世界に魅了され、ネットの世界をどう使うのか、そのビジネスモデルを模索しながら生きてきた世代です。私たちの前に道は無く、道は私たちが作る立場でした。ネットの世界が今後どのような変遷を辿るのか予測がつかないながら、そんな中で同じ世代の人たちが先陣を切って頑張ってきたわけです。一部の人を除き、目上の人たちからも理解されにくい仕事をしており、私たちが日夜パソコンに向かって仕事をしている姿を特異の眼差しで見られることも多かったと思います。
それでも、Web業界もここ数年で漸く安定してきつつありました。その最中に起きた今回の事件。一歩間違えれば私たちのやってきたこと、これからやろうとしていることが否定されかねません。『Web業界の実体は、Web業界の収益モデルは所詮こんなものか』と思われるのが、私たちにとっては何よりも心苦しいです。
ライブドアは、その前身であるオン・ザ・エッジの時代から馴染みがあります。オン・ザ・エッジはISP契約が不要、無料でインターネットに接続できるプロバイダとして活動しており、私も何度か利用したことがありました。しかし、収益モデルの見えなかったこの会社が瞬く間にこの業界でのし上がってきたことに対しては、胡散臭いものを感じていました。それでも同世代の経営者が業界で収益を上げていることは、同じ業界に身を置く者の身としては仕事をする上での支えになっていた部分もあったと思います。ネット業界の中でも、世間一般の認知としてはトップクラスに位置していただけに、それら全てが張り子の虎でライブドア本体はやはり大赤字、実は不当な買収や株価操作による不当な利益によって成り立っていたという事実は、この業界そのものに影を落としかねないのです。どんなに遅くまで、どんなに大変な思いをして仕事をしてきても、結果がこれでは全てが水泡に帰してしまいます。
私たちの世代とこの業界を裏切り、『良く分からない仕事をしている』と思いながらも応援してくれていた年配の世代を裏切った。そういう意味で、今回の事件の罪は果てしなく重いものとして感じられるのです。
まぁ、いくら堀江氏が罪を犯していたとはいえ、今回の事件が発覚してから「待っていました」とばかり、鬼の首を取ったかの如く批判を続けるテレビの中の人たちやお偉いさん方(特に政治家)も醜悪にしか見えないのですが。
ライブドア本社内で夜を徹して仕事をしてきた人たちは本当に浮かばれないだろうな。もう先が見えていますが、それでも頑張ってほしいと思っています。引き続きこの業界を引っ張って、死ぬまで身を置き、何かを残すことが今の私たちに課せられたことなのでしょうから。
今後は、今まで買収してきたグループ会社の行方、ライブドアが提供してきたサービスの行方が焦点になりそうです。
(堀江氏が偉そうな本を出したとき、私も私的なコラムで氏を扱き下ろしたことがありましたが、名声も愛も女も全て金で買えると勘違いしたあの辺りから、既に『ダークサイド』に身を置いていたのでしょうね。)
投稿者 なおか : 07:19 | 12.ニュース・記事など



